古今東西よくある話、十番煎じの童話集

小学4年生からの読み物

妥協婚 3

彼氏を恨めしく思っていた女の頭の中では、

(あいつも一緒に崖下に落ちたんだから、恐らくこの辺りで彷徨ってるはずよ。

見つけたら引っ叩いてやるわ)

と、文句が右往左往しながら渦巻いていました。

女は頭の中でも思考をウロウロさせながら、

時々トンネル付近をウロウロしていました。

いつか彼氏を探し出して、力の限り罵倒するつもりなのです。

怒りも抱いている一方で、そんな理由で徘徊している惨めな自分を

自覚していないわけではありません。

独りぼっちで醜い衝動にかられた自分を、

恥ずかしいと思う気持ちを抱いているのです。

ですが、人間の性と言うべきでしょうか、女はその羞恥を認めたくはありません。