古今東西よくある話、十番煎じの童話集

小学4年生からの読み物

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

それは悪いソバだった 23

その後ずいぶん時が経ち、世の中のことを知ったソバオは思いました。 わざわざソバになることもなかったのかもしれないな・・・ 小麦として人生を全うして中力粉となったとしても、 蕎麦粉と混ざって二八蕎麦の「二」の方になれたかもしれないし。 そういう…

それは悪いソバだった 22

「そっかぁ。でさ、烏丸はなぜ僕に逢引のことを知らせたんだい? 烏丸にはメリットなんて無いのに」 「そう、メリットは何も無いわね。 ただ、逢引されているかもしれないソバオを、見過ごせなかっただけよ」 「そうだったんだ。助かったよ、烏丸。ありがと…

それは悪いソバだった 21

「あれは作り話だったのか・・・それなら赤ちゃんの両親はともにソバ。 となればソバエットも僕も完全にソバ。 ってことは僕が勝手に遺伝子がどうのなんて仮定して、 それを元に話をしていたのか。間抜けだなぁ僕は。 ん?じゃあなんで赤ちゃんは悪魔の実に…

それは悪いソバだった 20

「ふ~ん、そうだったんだ。・・・あっ、聞きたいことがあったんだ。 烏丸、君はなぜ悪魔の実の話をしたんだい? あんなことを話せば僕が、⦅ソバエットと小麦との逢引⦆という誤った疑い をかけるじゃないか」 「それが目的だよ。疑惑の相手が誰であろうが…

それは悪いソバだった 19

数日後、ソバオのところに烏丸が来ました。 「噂でいろいろ聞いたよ。ソバオ、君は元は小麦だったんだね」 「実はそうなんだ。小麦だったんだけど、ソバになりたくてここに来たんだよ。 それより僕はショックだったよ。逢引する人がいるなんて」 「そういう…

それは悪いソバだった 18

ソバエットは沈黙したままでした。 それは答えでした。 化けの皮が剥がれたソバエットは沈黙の後、顔に悔しさを滲ませながら 「時が経てば誰でも変わるじゃない。それのどこが悪いのよ」 と開き直りました。 ソバオは優しく言いました。 「逢引の事実はすぐ…

それは悪いソバだった 17

ソバオは、新しい朝の新しい空気をいっぱい吸ったところで ゆっくりとソバエットに尋ねました。 「で、赤ちゃんの父親はいったい誰なんだい? 赤ちゃんはソバの実と悪魔の実、二種類生まれた。烏丸によると、 それはソバと小麦の掛け合わせで生まれるという…

それは悪いソバだった 16

「そんなこと気にしないでゴゥドン。よして、ねっ、顔を上げて、 もう謝らないで。 あの時は悲しかったけど、ソバオとしてのあなたから優しさを沢山貰ったわ。 もう悲しみなんてないのよ。お互いの昔の名前で呼び合えるんだから、 こんなに幸せなことってな…

それは悪いソバだった 15

「ヒャムギーナ・・君なのかい!? ・・・・・僕はゴゥドンだ。匹国の、小麦のゴゥドン・・・」 「!!」 「僕も今まで黙っていた。僕こそ隠していて・・・すまなかった」 「本当にゴゥドンなの・・・」 「ゴードンでもゴウドンでもない。二文字目は小さいゥ…

それは悪いソバだった 14

「実は話があるの。今話してもいいかしら?」 ソバエットが静かに言いました。 「うん。・・・どうしたんだい?」ソバオは何かを感じながらも 普段通りに答えました。 「実は・・・私、昔は小麦だったの」 「何だって!?」 「私はここから遠く離れた所で小…

それは悪いソバだった 13

その日の静かな夜にソバオは考えていました。 (烏丸の言っていたことが本当なら・・・ 悪魔の実は、ソバと小麦の子ということになる。 それならソバエットと、どこかの小麦との間に生まれたということ・・・。 彼女は誰かと逢引してたのか? でもこの村には…

それは悪いソバだった 12

悪魔の実がどこかに消えてから数日後、 ソバオたちのところに烏丸 黒子(からすま くろこ)がやって来ました。 ソバオはこの間の恐ろしい出来事について話しました。そして 「暴君はどこかへ行ったのでホッとしているよ」と安堵の表情を見せました。 「そう…

それは悪いソバだった 11

拷問は仕上げに入ります。 彼らを待ち受けているのは釜茹での刑です。 グツグツと煮立った熱湯の中にバラまかれ、地獄に来たかのような 苦しい思いをしました。そんな中で彼らは、悪いことをした自分と決別して、 まっとうな人生を歩みたいと思うようになり…