それは悪いソバだった 16
「そんなこと気にしないでゴゥドン。よして、ねっ、顔を上げて、
もう謝らないで。
あの時は悲しかったけど、ソバオとしてのあなたから優しさを沢山貰ったわ。
もう悲しみなんてないのよ。お互いの昔の名前で呼び合えるんだから、
こんなに幸せなことってないじゃない」
「ヒャムギーナ、許してくれるかい?」
「もちろんよ」
こうして昔に戻った二人は、空白の時間を埋めるかのように
沢山の話をしました。
喜びもどんどん溢れ出てきたので、時間を忘れて夜通し話しました。
二人は空が白み始めたことにも気づきません。
朝が来たことに気づいたのは、山から太陽が顔を出し始めて
橙の光に包まれたころでした。
その光は 二人の新しい出発 を祝っているかのようです。