それは悪いソバだった 17
ソバオは、新しい朝の新しい空気をいっぱい吸ったところで
ゆっくりとソバエットに尋ねました。
「で、赤ちゃんの父親はいったい誰なんだい?
赤ちゃんはソバの実と悪魔の実、二種類生まれた。烏丸によると、
それはソバと小麦の掛け合わせで生まれるというらしいね。
僕らが完全なソバになったのなら、この村で生まれるのはソバだけだ。
だが違う。
僕らは完全なるソバにはなっていなかった。小麦の遺伝子が残っていたんだよ。
遺伝子に小麦が残っている僕たち二人からは小麦が生まれるはず。
ということは父親がソバということにならないかい?
そうなら僕は父親じゃない。
君は小麦とではなく、ソバと逢引をしていたんだね。
夜通し語り合っている間、君は何を思っていたんだい?
懐かしいゴゥドンとの再会で気持ちが高ぶって、
自分の逢引のことは忘れていたのかい?
感情豊かなところは昔のままだね、ヒャムギーナ。
けど、君はすっかり変わってしまった。逢引するなんて。
ヒャムギーナ・・・いや、ソバエット」