古今東西よくある話、十番煎じの童話集

小学4年生からの読み物

それは悪いソバだった 23

その後ずいぶん時が経ち、世の中のことを知ったソバオは思いました。

 

わざわざソバになることもなかったのかもしれないな・・・

小麦として人生を全うして中力粉となったとしても、

蕎麦粉と混ざって二八蕎麦の「二」の方になれたかもしれないし。

そういう蕎麦のなり方でも良かったのかもなぁ・・と。

 

でも一瞬頭をよぎっただけで、そんなことはすぐに忘れました。

 

ソバオはカラスみたいな名前のソバと再婚し、幸せに暮らしていたからです。

 

おしまい

それは悪いソバだった 22

「そっかぁ。でさ、烏丸はなぜ僕に逢引のことを知らせたんだい?

烏丸にはメリットなんて無いのに」

「そう、メリットは何も無いわね。

ただ、逢引されているかもしれないソバオを、見過ごせなかっただけよ」

「そうだったんだ。助かったよ、烏丸。ありがとう、何かお礼をしたいな。

何か欲しいものはないかい?」

「ないわ」

「えっ?何もいらないのかい?」

「何もいらないよ、私は」

「本当にいらないのかい?この世に見返りも求めずに動く者がいるのかい?」

「いるのよ。それが世の中ってものなのよ」

 

それは悪いソバだった 21

「あれは作り話だったのか・・・それなら赤ちゃんの両親はともにソバ。

となればソバエットも僕も完全にソバ。

ってことは僕が勝手に遺伝子がどうのなんて仮定して、

それを元に話をしていたのか。間抜けだなぁ僕は。

ん?じゃあなんで赤ちゃんは悪魔の実になったんだろう?

あの赤ちゃんたちは僕とソバエット、二人の赤ちゃんかい?」

「それはないわ、赤ちゃんは結婚してすぐ生まれたんだから、

彼女は結婚前からソバオ以外のソバと逢引していたってこと。

君は利用されたのよ。

それと悪魔の実は、ただの成長の早い赤ちゃんだね。

思春期になるとグレるのよ。悪魔でも何でもないのよ。

子供はだいたいがそんなものなの、君たちが知らなかっただけ。

でね、成長が早くて大きい実は目立つでしょ。

だからすぐに大きな手の主に発見されて収穫される。

残りの赤ちゃんは収穫されずに済むから、そのまま畑で過ごして、

ちょうどよい時期に芽を出してソバとして大きくなれるんだよ」

「そうだったのか。ねぇ、烏丸は作り話がバレるとは思わなかったの?

今話してくれたことは、すぐにバレるようなことだと思うけど・・・」

「バレても構わないわ。あたしは≪噂で聞いた≫と言ったはずよ。

嘘がバレたら、 ≪その噂は間違いだった。ごめんね≫ ということで済むのよ」

それは悪いソバだった 20

「ふ~ん、そうだったんだ。・・・あっ、聞きたいことがあったんだ。

烏丸、君はなぜ悪魔の実の話をしたんだい?

あんなことを話せば僕が、⦅ソバエットと小麦との逢引⦆という誤った疑い 

をかけるじゃないか」

「それが目的だよ。疑惑の相手が誰であろうが、

ソバオが彼女に疑いの目を向けさせたかったの。

自分が疑われていると彼女が気づけば、逢引をやめるかもしれないでしょ」

「彼女の逢引のことは君は知らなかったはずなのに、

なぜ疑うように仕向けたんだい?」

「女の勘よ。彼女が逢引しているって感じたの・・・

女はそういうの分かるのよ。

でも証拠はないから断言できないし、直接的なことも言えないから、

噂話という作り話をして知らせたの」

烏丸は一言付け加えました。

「それとね、ソバと小麦が逢引しても花粉は混ざらないわ。

だから赤ちゃんは生まれない。

混ぜたければソバ粉と小麦粉になってからの方が都合がよいでしょ。

君たち世間知らずだから、それを知らなかっただけ」