それは悪いソバだった 6
ソバたちと一緒に暮らしていたソバオ(旧ゴゥドン)は不思議なことに、
徐々にソバらしくなっていきました。
ソバたちは成長し、もうすっかり自分の根で歩けるようになりました。
ある日、その辺のソバが言いました。
「ねえ、ソバオは最初に会った時とは随分と姿が変わったね」
それを聞いたソバオ(旧ゴゥドン)は、
自分がソバになれたんだと実感しましたが、
「そうかな?それは君たちが大きくなったからじゃない?赤ちゃんの時と、
今とでは、同じものを見ても同じようには見えないものだよ」
とはぐらかして答えました。
ソバに憧れていたソバオ(旧ゴゥドン)は、
自分が小麦だったことはずっと黙ったままでした。