それは悪いソバだった 19
数日後、ソバオのところに烏丸が来ました。
「噂でいろいろ聞いたよ。ソバオ、君は元は小麦だったんだね」
「実はそうなんだ。小麦だったんだけど、ソバになりたくてここに来たんだよ。
それより僕はショックだったよ。逢引する人がいるなんて」
「そういう人もいるの、それが世の中ってものよ。
ところでソバエットを紹介したのって蜂たちでしょ?
蜂は適当なんだから、紹介してもらうのはよしたら?
結婚相手ぐらい自分で探しなよ」
「なんで?あの二人は気のいい蜂だよ」
「性格はいいのよ。でも蜂は蜜が欲しくて仲人するの。
花たちは結婚すると蜜を出すから、蜂たちはそれを狙っているのよ。
蜂にとっては君の結婚相手は誰でもいいんだよ」
「ってことは彼らは僕を利用しただけなのかい?蜂って悪い奴なのかい?」
「蜂たちは基本的には気のいい奴よ。
彼らは花たちが結婚すること自体を純粋に喜んでいる。
その一方で花たちの蜜を飲むために仲人もしている。
そういうものなの、世の中ってのは」