それは悪いソバだった 22
「そっかぁ。でさ、烏丸はなぜ僕に逢引のことを知らせたんだい?
烏丸にはメリットなんて無いのに」
「そう、メリットは何も無いわね。
ただ、逢引されているかもしれないソバオを、見過ごせなかっただけよ」
「そうだったんだ。助かったよ、烏丸。ありがとう、何かお礼をしたいな。
何か欲しいものはないかい?」
「ないわ」
「えっ?何もいらないのかい?」
「何もいらないよ、私は」
「本当にいらないのかい?この世に見返りも求めずに動く者がいるのかい?」
「いるのよ。それが世の中ってものなのよ」