古今東西よくある話、十番煎じの童話集

小学4年生からの読み物

それは悪いソバだった 22

「そっかぁ。でさ、烏丸はなぜ僕に逢引のことを知らせたんだい?

烏丸にはメリットなんて無いのに」

「そう、メリットは何も無いわね。

ただ、逢引されているかもしれないソバオを、見過ごせなかっただけよ」

「そうだったんだ。助かったよ、烏丸。ありがとう、何かお礼をしたいな。

何か欲しいものはないかい?」

「ないわ」

「えっ?何もいらないのかい?」

「何もいらないよ、私は」

「本当にいらないのかい?この世に見返りも求めずに動く者がいるのかい?」

「いるのよ。それが世の中ってものなのよ」