古今東西よくある話、十番煎じの童話集

小学4年生からの読み物

パンを丸ごと

昔々あるところに男の子がいました。その子が住む家には小さい池があり、金魚が飼わ

れていました。男の子は金魚にパンを与えようと思い、時々池にパンを投げてやってい

ました。とても優しい男の子なのです。

 

ある日、その優しさがあふれ出しました。

「パンを一斤丸ごとあげたら、金魚はよろこぶだろうなぁ」と思った男の子は、お母さ

んが買ってきたばかりのおいしいブレッドを池に放り込みました。

男の子は満足でした。とても良いことをしたと思いました。

 

しばらくして、近所の集会所での寄合が終わり帰宅したお母さんに、

男の子は得意そうに自分の善行を話しました。

そうしたらお母さんは

「なんてこった、この子は!せっかくのパンを捨てしまったのかい!」と

烈火のごとく怒ってまるで山姥のようでした。というより怒らなくても、

普段から山姥のような顔をしているお母さんでした。

 

男の子は自分のしたことを反省しました。

どんなことでもやりすぎはよくないいんだなぁ、と。

それと、なんで父ちゃんは山姥と結婚したんだろう・・・と疑問でした。

 

そして池の中の金魚はというと、

「パンをまるごとなんて、食いにくいじゃねーか。あのガキ使えねーな。」

と思いました。

 

古今東西、老若男子のすることなんて、だいたいこんなものです。

 

 

 

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魚、パンに向かう