古今東西よくある話、十番煎じの童話集

小学4年生からの読み物

代理戦争

昔々、スコップ達とツルハシ達がいました。彼らは嘆いていました。。

最近道具を手荒に扱う人々が増えてきた、と。

道具を大切にしない奴らには使われたくない、とも願っていました。そこで彼らは、

スコップ達vsツルハシ達というケンカをしてみたらいいんじゃないか?

ということになり、いっちょケンカを始めてみました。

 

そうしたら何故か野次馬の人々がたくさん集まってきました。そのうちに何故か

スコップを応援する者や、ツルハシの味方をする者に分かれ始めました。

さらに何故か人々までケンカを始めました。

スコップで相手の足を狙ったり、ツルハシを振り下ろしたりしました。

人々は自分の仲間がやられたら、負けじと相手にやり返すので、

なかなか終わりません。

 

そんな人々でしたが、暫くしたら何故かスコップとツルハシを投げ捨て、

ゲンコツでお互いをポカポカ叩き始めました。

投げ捨てられた道具達はそのすきに皆で逃げました。人々はそれには気が付かず、

まだポカポカしていました。

 

遠くまで逃げてきたスコップとツルハシはお互いの無事を確認しました。

逃げ遅れた者はいませんでしたし、誰も特にケガもしていません。

「ひどい奴らだったね」「ああいう奴らが道具を大事にしないんだよね」

「ほんとよね」「あんなのに使われたくないよね」

「ケンカをしている連中はダメな奴だよね。あんな奴らの元で働きたくないよね」

「それにしても上手くいったね」「そうだね、うまく誘き出せたね」

「ねっ。今ケンカをしていない人のところへ行けば、大事にしてもらえるもんね」

「荒っぽい奴らが一か所に集まってくれたなら、

そんな野蛮なところへ行かない人たちは、穏やかな性格ってことになるからね」

「優しい人を態々探さなくてもいいもんね」

「これで僕らはみんな良い人のところで使ってもらえるね」

「そうだね、毎日気分よく働けるね」

「それにしても愚かな人々だったね、僕らの代わりに争ってたね」

「ほんとね。愚かな人は愚かな人同士で一緒にいればいいのよね。ちょうど良いよね」

 

道具達は仲良くそんな話をしながら、家々を回りスコップやツルハシを

欲しがっている人に貰われていきました。

出会った人たちはみな”あんな奴ら”ではないので、道具達はいつまでも大事に

扱われ、幸せに暮らしたそうです。

 

 

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代理戦争