古今東西よくある話、十番煎じの童話集

小学4年生からの読み物

人相

昔々あるところに阿多氏がいました。阿多氏は車でテイクアウト専門のから揚げ屋に

行きました。お店は小さく、駐車場も狭くて細長いところでした。

夕方ということもありお客さんは途切れることなく入っていましたが、

タイミングが良く、阿多氏はさほど待つこともなく買えました。

 

会計が終わり阿多氏が店の出口に向かいました。そこに年配女性のお客さんが入店して

阿多氏とすれ違いました。阿多氏は年配女性の顔を見た時に嫌な印象を抱きましたが、

赤の他人ですので気にも留めずお店を出ました。

 

そして駐車場の自分の車に戻ったのですが、なんと車が動かせません。

駐車スペースではないところに車が止めてあり、それが邪魔となり阿多氏の車と、

隣の車(若い殿方が乗っていた)が動かせません。

邪魔な車の犯人はから揚げ店のお客さんの中にいるので、犯人が出てくるまで

待つしかありません。阿多氏はイライラを抑えつつ、車の中で待ちました。

 

お店はガラス張りなので、車中にいる阿多氏からは店内の様子が見えます。

しばらく観察をしていたら、先ほど述べた年配女性が外の方をチラチラ見ていました。

(奴がホシか。)阿多氏はそう思いましたが、断定はできません。

 

その後、お客さん数人が買い物を終え出てきますが、犯人ではありません。

年配女性はまだ店内にいます、外を気にしながら。

(間違いない、奴だ。)阿多氏は確信しました。

 

結局10分待った後、年配女性・・・いや、もはやババアと呼ぶべき奴が出てきて

邪魔な車に乗りこんで帰っていきました。阿多氏と、隣の殿方は解放されました。

(あのババァ、俺の10分返しやがれ。)阿多氏は久々にむかっ腹を立てました。

 

阿多氏の見た犯人はこんな顔でした。

 

 

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