古今東西よくある話、十番煎じの童話集

小学4年生からの読み物

ロマンテック

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密会

 

 

昔々あるところに、カボチャのロメ雄と、カボチャのジュリエッ子がいました。

ロメ雄はジュリエッ子のことがめっちゃ好っきゃねん。

そこで種から生まれたロメ夫は柄にもなく、きゅうこんしました。返事はOKでした。

めでたく二人は夫婦になりました。

 

仲睦まじく暮らしましたが、ついに子宝には恵まれませんでした。それでも二人は

幸せに過ごし、歳をとってもいつも一緒に居ました。

そして長い年月が経ち、ロメ雄が先に旅立ちました。

その数日後、ロメ雄の後を追うがごとくジュリエッ子も旅立ちました。

周囲の者たちは悲しみの中、ロメ雄のお墓の隣にジュリエッ子を埋めてあげて、

「二人はいつまでも一緒だよ、安らかに」と言って手を合わせました。

 

              ・

 

それから冬が来て雪が積もり、その冬も去り、暖かな季節となりました。

              

二人のお墓はどうなったのでしょう・・・・・・

なんと二人が眠った場所から芽が出ているではありませんか。

瑞々しく可愛らしい緑の二つの芽が、隣同士で微笑み合っています。

 

              ・

 

季節は移り太陽の力が強くなりました。

あんなに小さかった芽も、今では大きな緑の波となって地面を覆っています。

グリーンウェーブという言葉がぴったりです。

その中の穏やかな黄色の希望。そう、それは二人の花です。

 

子供に恵まれなかった二人のために、蜂たちはこっちの花、あっちの花と

行ったり来たりしています。黄色い花を愛でながら、花粉をせっせと運びました。

 

 

実りの季節になるころには、二人の愛娘(男の子かもしらんけど)も

大きくなっていることでしょう。 

 

芽出たし、愛でたし。