それは悪いソバだった 1
昔々、匹国島 ( ひきこくじま ) というところに
佐貫(さぬき)ゴゥドンという若い小麦が住んでいました。
匹国島の周囲はセトーチ海峡があり、
海峡の先には東から北にかけて木州(きしゅう)、
西には旧州(きゅうしゅう)という島があります。
ゴゥドンは将来について悩んでいて、ふと両親のことが
頭によぎりました。
ゴゥドンの父親のゴーリキーはゴゥドンを育てた後、
強力粉になりました。
母親のハクリーキは物腰の柔らかな小麦だったので、
薄力粉となりました。
そんなことを思い出したゴゥドンは、
「あの両親なら僕は中力粉になり、行く末はウドンだろうな。
真っ白なんて嫌だな。僕は渋い色のソバになりたいなぁ」と
ため息をつきました。