お城
昔々ある国に王様がいました。
たくさんの人々を力づくで押さえつけ、一つの国を作ったところでした。
そこで自分の権力を見せつけるために豪勢な城を建てることにしました。
すぐに名のある建築家を呼び寄せ、そしてたいそう立派な城が完成しました。
建築家はすぐにどっかへ行き、その後ほうぼうに赴き、
いくつもの城を建たそうです。
で、その王様はイバリんぼで、みんなから嫌われていました。
何年か経ってその息子が次の王様になりました。
この王様は初代よりは威張りませんでしたが、
なんとなく偉そうで、なんとなく人気がありませんでした。
次の王様はその息子でした。性格はのんびりしていてまぁまぁでしたが、
ぐうたらすぎて王様の仕事には向いていませんでした。
次の王様はその息子ではなく、隣の国の出身の武官でした。
ぐうたらの王様が仕事をさぼっている隙に攻めてきて、
武官はその国を乗っ取ったのです。
ぐうたらはどっか他の国へ逃げました。
城は立派だったので武官は壊さずにそのまま住みつき、
その国の王様となったのです。
元武官の王様は規律正しい性格で、民のことを慮る優秀な王様でした。
国を治めることには長けていましたが、如何せん堅苦しくて
思いのほか民からは好かれない王様でした。
で、次の王様はその息子で・・・・次はその息子で・・・・
さらにその息子・・・・・・・・、
で、ある時にどっかの誰かが攻めてきて王様が変わり・・・
そのうちにその息子が次の王様となり・・・
なんてことを繰り返していきました。
そして700年後、その城にはだれも住んでいませんでした。
時代はすっかり変わり、戦乱・貴族・奴隷などという時代は遠い過去の出来事になり、
人々はみんなふつーに仕事をして、ふつーの家に住むようになりました。
城も権威の象徴ではなくなり、観光名所になっていました。
価値ある歴史的建造物として国内外から多くの人が訪れていました。
700年後の人々は、素晴らしい建築家が建てた素晴らしい城に感動していました。
かつてこの城を治めていた歴代の王様のことなんて誰も知りません。
良い王がいたとしても、悪い王がいたとしても、そんなんどうでもよいのです。
為政者なんて・・・いつの時代も、まぁ何と言うか、いつも、自分のことしか、
その、考えてないような、その、あれですね、結局は、自分が可愛いっていうか、
で、あの、権力とか利益を貪るだけのような、欲望の塊っていうか、まぁ、
そんな気がしないでもない感じで、国民を使って、というか酷使して
金巻き上げて、まぁ、それでうまい具合に、がっぽり自分のとこには
金が入ってくるシステムを作って、既得権益を離さない系?っていうか
天下りっぽくない?・・・ぽくない?みたいな人?
そんな風な人ばっかり系じゃね?
・・・ということを、過去の歴史から学んできた700年後の人々にとっては、
美しい建築物と、それに携わった建築家、
それと当時の建築労働者の働きにしか価値を感じなかったのです。
(イメージ図)